研究課題
日本人Birt-Hogg-Dube症候群(BHDS)患者のFLCN遺伝子解析を継続して行っており、解析症例数は105例となった。症例数が増えても、日本人と欧米人で同じ変異は依然としてエクソン11の1種類(c.1285dupC)のみであり、日本人BHDS患者ではエクソン11,12,13へ変異部位が集中している事には変わりがなかった。従って、FLCN遺伝子変異には人種差がある事が確認されたので、日本人のFLCN遺伝子変異とBHDSの3大臨床症状(肺・皮膚・腎臓)の頻度や重症度との間に何らかの関連性が見いだせないかどうかを、現在精査中である。BHDSが疑われるにも関わらずFLCN伝子に変異が確認できない嚢胞性肺疾患患者について高密度マイクロアレイ(アフィメトリクスSNP6.0チップ)を用いてSNP解析・LOH解析を行った。それらの結果について、現在新たなBHD症候群関連遺伝子をみつけるべく確認を行っている。BHDS患者より分離培養した肺線維芽細胞を用い、その機能解析を行った。その結果、コントロール正常肺線維芽細胞に比べBHDS患者由来線維芽細胞は収縮力が弱く、細胞の運動性が低下している事が示唆された。これは、「FLCN遺伝子変異を有する細胞は、肺の収縮や心拍動などの力学的・物理的刺激に耐えられずアポトーシスしていく事が肺嚢胞を生じるメカニズムではないか」という我々の仮説に合致する結果であり、来年度も更に追求していきたい点である。
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Journal of Medical Genetics
巻: 47(4) ページ: 281-7
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