マクロファージには、複数のポピュレーションが報告されている。細菌や死細胞を貪食する古典的活性化マクロファージやIL-4、IL-13刺激下に誘導される選択的活性化マクロファージなどがそれらに該当するが、肺胞マクロファージ(AM)のポピュレーションの詳細については明らかではない。一方、マクロファージは抗原提示細胞(APC)であり、T細胞活性化には、樹状細胞を含めたAPCからの補助シグナルが必須である。T細胞が持つ多様な機能は、多種の補助シグナル分子の介在の有無により制御されると考えられている。本研究では、喘息に関わる特異的なAMのポピュレーションおよびAM上の補助シグナル分子の役割を明らかにすることを目的としている。本年度は、OVA抗原感作と誘発による喘息モデルマウスとコントロールマウスにおける肺胞洗浄液中のAMについて解析を実施した。マクロファージの各ポピュレーションの代表的なマーカーに加えて、AM上の補助シグナル分子の発現を解析した結果、コントロールマウスと喘息モデルマウスの肺胞洗浄液中AM間で異なる発現パターンを呈した補助シグナル分子に着目するに至った。現在、AMのポピュレーションをさらに詳細に解析するとともに、この補助シグナル分子を中心に、得られたポピュレーションの機能を解析中である。次年度においては、AMを欠失させた喘息モデルマウスの系に、ex vivoで調整したAMを気道に移入し、喘息モデルマウスにおけるAMの役割を解析する。また、すでに樹立している補助シグナル分子の中和抗体を用いてAM上の補助シグナル分子の役割を解析する予定である。
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