本年度は、最も効率良くアポトーシス/オートファジーを誘導し、レセプター介在性に細胞質内に取り込まれるためのナノ粒子を作成するため、様々な素材・サイズのものを用いて検討した。これらの結果、最も効率のよいナノ粒子は、gold粒子を脂質二重膜であるリポソームで包み込み、これらを抗EGFR(epidermal growth factor receptor)抗体で修飾したものであった(直径50-70nm)。 (1)アポトーシス/オートファジー誘導効果のスクリーニング 上記のナノ粒子およびコントロールナノ粒子(抗EGFR抗体で修飾されていないナノ粒子)をEGFRの発現強度の異なる非小細胞肺癌細胞(HCC827・H1299・H520)に添加し、May-Giemsa染色にて形態学的変化およびanti-PARP抗体、anti-LC3抗体を用いたwestern blotにて、アポトーシス/オートファジー誘導の比率について検討した。EGFRの発現した細胞では細胞質内に空胞形成を認め、主にオートファジーが誘導されている事が確認されたが、EGFRの発現していないH520細胞ではこれらを認めなかった。 (2)抗EGFR抗体で修飾したナノ粒子によるオートファジーレセプター介在性エンドサイトーシス誘導効果 暗視野顕微鏡を用いて、ナノ粒子の細胞内への取り込みについて検討した所、EGFRの発現した細胞にてナノ粒子が細胞質内に検出されていたが、EGFRの発現していない細胞では、細胞質内にナノ粒子が検出されなかった。これらナノ粒子が細胞質内に取り込まれるのは、レセプター介在性エンドサイトーシスによるものと考えられ、現在、オートファジーとエンドサイトーシスの関連性について更なる検討中を行っている。
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