研究課題
1.前年度に続き、気管支喘息およびアトピー性皮膚炎患者の末梢血検体を収集・解析した。ヘルパーT(Th)細胞に特異的に発現する「硫酸化糖鎖性ホーミング分子」をフローサイトメーターで定量した。アトピー性皮膚炎患者の解析において、同分子の発現量は症状再燃性と有意に相関した。一方で、「硫酸化されていない糖鎖性ホーミング分子」の発現量は採血時の病勢と有意に相関した。さらに、硫酸化糖鎖性ホーミング分子の測定がアトピー性皮膚炎の高再燃患者群の検出に有効か、ROC曲線(Receiver Operatorating Characteristic curve)を用いて検証した。AUC(Area Under the Curve)は0.9以上の高値を示し、同検査の臨床的有用性が示唆された。2.硫酸化糖鎖の合成に関与する6-硫酸基転移酵素の一つであるHEC-GlcNAc6STが、転写因子T-bet、GATA-3、Sp1によって発現調節されること、PKAによるGATA-3のリン酸化が必要であることを論文報告した。さらに、Th細胞におけるHEC-GlcNAc6STの硫酸化糖鎖合成能をJurkat細胞を用いて検証した。HEC-GlcNAc6STをノックダウンしたところ、最低でもひとつの硫酸化糖鎖構造の発現が減少し、HEC-GlcNAc6STを強制発現したところ同糖鎖の発現が増加した。興味深いことにこの硫酸化糖鎖構造は、B細胞特異的に発現するCD22分子に対するリガンドであることが知られている。以上の結果から、HEC-GlcNAc6STはTh細胞において硫酸化糖鎖性接着分子の合成に関与することが示された。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
J Immunol
巻: 188(9) ページ: 4690-700
DOI:10.4049/jimmunol.1100605
Biochim Biophys Acta
巻: 1820 ページ: 841-848
DOI:10.1016/j.bbagen.2012.03.005
Advances in Experimental Medicine and Biology
巻: 705 ページ: 549-569
10.1007/978-1-4419-7877-6_29
http://www.pref.aichi.jp/cancer-center/ri/01bumon/07bunshi_byotai/index.html