[背景と目的]糸球体壁細胞は抗GBM抗体腎炎において頻繁に形成される半月体の主要構成細胞と考えられており、半月体形成が糸球体の尿路・血流を傷害し、腎機能の悪化につながると考えられている。しかし半月体形成機序については詳細は知られていない。本研究では半月体形成機序の第一ステップと考えられる糸球体壁細胞の増殖のメカニズムを明らかにすることを目的としている。 [研究結果]平成22年度は半月体形成性腎炎モデルマウスを作成し、増殖マーカーであるKi67の免疫染色で糸球体における細胞増殖を評価した。この結果、糸球体全体に加え糸球体壁細胞での細胞増殖亢進を確認できた。これまでの培養細胞を用いた実験などから、半月体でも産生が増加しているコラーゲンが糸球体壁細胞の増殖を促進しているという仮説をたて、この仮説の検証を行っている。 組織でのsirius redを用いた非特異的コラーゲンの染色では増殖細胞とコラーゲン染色の間に相関関係は見られなかった。このため現在I型コラーゲンおよびIV型コラーゲンの組織染色を行い、コラーゲンの型と増殖細胞の関係を評価している。 またコラーゲンをコートしたプレート上で培養細胞を維持することで細胞の増殖・形態に変化が起きるか検討を行うため、実験系の最適化を行っている。 1型コラーゲンをコートしたプレートでコラーゲン量に依存して細胞増殖が亢進することが確認されたが、現在追試験中である。
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