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2011 年度 実績報告書

転写因子HIF-3が進行性腎疾患の低酸素応答調節に果たす役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22790781
研究機関東京大学

研究代表者

田中 哲洋  東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (90508079)

キーワードHIF-3 / 進行性腎疾患
研究概要

平成23年度は、尿細管細胞におけるHIF-3αの機能的役割を解明することを主眼として研究を遂行した。
平成22年度の研究成果より、HIF-3αの過剰発現はHIF-1を介する低酸素転写応答を減弱させることが明らかとなったため、次にテトラサイクリン誘導性HIF-3α過剰発現HEK293細胞を作製し、その細胞特性を増殖、遊走・分化、細胞死の観点から調べた。HIF-3αの過剰発現は細胞増殖やアポトーシスに影響を与えなかった一方で、scratch assay法によって低酸素環境における細胞の走化性獲得を有意に抑制することが明らかとなった。そこで、過去にHIF-1標的遺伝子として報告され、細胞走化能に関与すると考えられた遺伝子群に標的を絞り、その発現プロファイルを可及的網羅的に調べたところ、HIF-3の過剰発現がlysyl oxidase(LOX)やLOX-like2(LOXL2)の低酸素発現誘導を選択的かつ最も顕著に抑制することが明らかとなった。今後、レトロウイルス発現系を用いてHIF-3α過剰発現近位尿細管細胞株(HK-2)を作製し、低酸素環境下での尿細管走化能、およびLOX,LOXL2の発現変動を調べていく予定である。
次に内因性のHIF-3αが果たす機能的役割について考察を加えるため、HIF-3αのノックダウン実験系を確立した。過去に申請者らが使用していたターゲット配列においては、必ずしも十分なノックダウン効率が得られず、実験結果の一義的な解釈が困難であったため、新たに候補標的配列をスクリーニングし、高効率ノックダウンをもたらす配列を同定した。今後、同siRNAを培養尿細管細胞にリボソーム法にて一過性トランスフェクションし、低酸素条件下での遺伝子発現プロファイルを網羅的に探索する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の遂行によってこれまでに得られた結果は、申請時の作業仮説を概ね支持する内容である。よって順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

今後の研究において、HIF-3が尿細管において低酸素誘導性EMTを抑制する分子機構を明らかにし、同時に虚血腎における同発現局在の変化を免疫組織化学的手法によって調べていく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Dysregulated oxygen metabolism of the kidney by uremic toxins : review2012

    • 著者名/発表者名
      Chiang CK, Tanaka T
    • 雑誌名

      J Ren Nutr

      巻: 22 ページ: 77-80

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Indoxyl sulfate, a representative uremic toxin, suppresses erythropoietin production in a HIF-dependent manner2011

    • 著者名/発表者名
      Chiang CK, Tanaka T
    • 雑誌名

      Lab Invest

      巻: 91 ページ: 1564-1571

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The role of incretins in salt-sensitive hypertension : the potential use of dipeptidyl peptidase-IV inhibitors2011

    • 著者名/発表者名
      Tanaka T
    • 雑誌名

      Curr Opin Nephrol Hypertens

      巻: 20 ページ: 476-481

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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