1.肥満糖尿病モデル動物の腎障害における『Rac1によるMR活性化』の関与の再検討 (1)昨年報告のKKAy片腎摘モデルの不安定さから、片腎摘なしのモデルで再検討を行った。(2)片腎摘なしKKAyにおいても早期から持続してRac1活性化を認め、Rac1阻害薬EHT1864の強制給餌投与により、体重・血糖への影響なく著明な腎障害改善効果を認めた。 (3)同モデルに対し、MR阻害薬EPLの血圧への影響がないとされる用量の投与を行い、体重・血圧・血糖に影響することなく、同様の著明な腎障害改善効果を認めた。 2.Rac1によるMR活性化が腎障害を惹起する機序の探索 (1)KKAyモデルにおいて、糸球体におけるMCP-1・TNF-α等の炎症関連因子発現の著明な上昇と炎症性細胞マクロファージの著明な浸潤を認め、EHT・EPLによるこれらの著明な改善を認めた。 (2)in vitroモデルにおいてglucoseによるRac1を介したMR活性化がこれら因子に及ぼす影響を探索中である。 3.glucoseがRac1を活性化させる機序の探索 昨年度の研究でAMPK・PKC等の関与を疑う結果を見出したが、これらの詳細な機序は今後の課題として残った。 4.glucose以外のRac1活性化因子、Rac1以外のMR活性化因子の探索 これらの検討は今回の研究では十分に進めることができず、今後の課題として残った。 現在行っているin vitroのglucose-Rac1-MRの系の下流の探索を以って本研究をまとめて論文として発表する予定である。
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