研究概要 |
現在までに、ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスが、低回転骨モデル動物であることを報告している(Hamada Y et al. Bone 40, 1408-1414, 2007)。糖尿病状態においては糖化最終産物(Advanced glycation end products : AGEs)が蓄積していることが知られており、このAGEsが糖尿病において低回転骨をきたす原因のひとつと考え、AGEsの受容体のひとつである糖化最終産物受容体(Receptor for AGEs : RAGE)の低回転骨病変に及ぼす影響につきモデル動物を用いた検討を行った。実験には全身でRAGE遺伝子を欠損させたRAGEノックアウトマウスを用い、野生型マウスとの骨代謝における違いを解析した。解析の結果、通常の状態にあってもRAGE遺伝子をノックアウトすると骨量増加、骨吸収能の抑制がみられ、糖化最終産物の蓄積がない状態でRAGEが骨代謝に影響を及ぼすことがわかった。一方で、予想に反して糖化最終産物が蓄積し低回転骨をきたす糖尿病状態においてはRAGEノックアウトマウスと野生型マウスに違いはみられず、どちらも骨形成も骨吸収も抑制されるような低回転骨を示した。
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