本研究の目的は、不死化細胞の技術を利用してエリスロポエチン産生細胞をクローン化し大量に培養した後に、生体に自家移植し生理的な腎性貧血の改善を可能にすることである。本年度は種々の細胞の木死化を行い、エリスロポエチン産生細胞の不死化に応用可能かを検討した。またエリスロポエチン産生細胞の同定に必須のシステムを構築した。さらにはエリスロポエチンの強制発現ベクターを作製した。 血管平滑筋細胞やヒト腎臓由来細胞の不死化を行い、GFP発現ベクターを導入した。RT-PCR法や蛍光顕微鏡を用いた検討により、細胞に不死化遺伝子が導入されたことを確認した。また長期間の培養によって細胞の表現系が変化しないことも確認している。当施設に設置されたセルソーターを用いることにより、従来の方法に比較し、高速かつ効率的にダメージの少ない細胞を回収し、大量培養に必要な技術を確立した。さらにエリスロポエチン産生細胞の同定に関しては、簡便に産生細胞をスクリーニングすることを目的に、RT-PCR法やELISAを用いたシステムを構築した。このシステムを用いることにより、実験動物から採取したサンプルや、培養細胞より得られたサンプルから、エリスロポエチンを産生する細胞を同定することが可能となった。またエリスロポエチン産生細胞を安価で高効率に検出する方法として、エリスロポエチンレポーターラインを作製し、GFPを発現させることでセルソーターによるエリスロポエチン産生細胞の検出と選別を容易にした。エリスロポエチンを強制発現させるベクターを作製し、長期間にわたり大量のエリスロポエチンを賛成することを確認している。これらのシステムを用い、実際に種々の細胞や組織からエリスロポエチン産生細胞を同定し、不死化した産生細胞をクローン化し、大量培養することを目的に、現在も研究を継続している。
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