腎臓は尿管芽の周りに後腎間葉と呼ばれる前駆細胞集団が凝集し、糸球体、近位尿細管、遠位尿細管へと分化していくことで形成される。この間葉を増幅させ、特定の細胞腫へと分化させることは腎臓再生にむけて大きな意味を持つ。特に糸球体を構成するポドサイト(足細胞)は腎臓前駆細胞に由来する最終分化細胞であり、慢性腎不全の際、最初に障害を受けることが報告されていることから、足細胞の誘導法開発は臨床的にも非常に意義のあることだと考える。そこで本研究ではまず、足細胞に発現している転写因子群に着目し、レンチウィルスによる強制発現系を立ち上げ、後腎間葉の培養系での足細胞への分化転換に挑戦した。 インディケータマウスとして、ポドシンプロモーター下にCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウス(podocin-Cre)とCre-loxPシステムで組み替えが起こるとGFPが発現するマウス(CAG-loxP-stop-loxP-GFP)とを掛け合わせた胎児の使用を考えた。このPodocin-GFPマウスはE14.5以降の糸球体細胞でGFPが発現し始めることを確認した。次に11種類の糸球体特異的転写因子を単離、導入細胞の同定が出来るようにしたtagをつけたウィルスベクターに組み込み、ウィルスを産生させて、タイターチェックを行った。しかしながら理想とされるタイターまで十分にあげることができず。感染効率が非常に低かった。現在濃縮方法や、遺伝子導入の条件を検討中である。
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