研究課題
[目的]アルツハイマー病(AD)ではアミロイドβ蛋白(Aβ)の単量体が数個から数十個凝集したオリゴマーの神経毒性が特に注目されている。我々はPhoto-induced cross-linking of umlodified proteins (PICUP)法を用いて、ヒト脳脊髄液がAβのオリゴマー化を抑制すること、更にはAD患者のヒト脳脊髄液は対照群と比較し、オリゴマー化の抑制力が弱いことを報告した。ヒト脳脊髄液内の抑制因子の特定することが、疾患の進展の予測、治療薬の開発につながるものと考えられる。[方法]18μLのAβ溶液に20μLの脳脊髄液をはじめとした検討する物質を混合し、光触媒反応を用いてオリゴマー化させ(PICUP法)、電気泳動および銀染色を行い、それぞれの物質のAβオリゴマー化への影響を評価した。Aβの線維化を抑制すると報告されている蛋白(アルブミン、免疫グロブリン、トランスサイレチン、アポプロテインJ、グルタチオン、ホモシスチン、システインC)、金属イオン(Cu、Zn、Fe)などをヒト脳脊髄液と同等の濃度に調整し効果を検討した。また電解質・ブドウ糖の影響を評価するため、それらをヒト脳脊髄液と同等に調整した人工髄液を作成し比較検討した。[結果]Aβの線維化を抑制すると報告されている上記の既知の蛋白、金属、更に人工髄液はヒト脳脊髄液ほどの抑制力をもたなかった。[結論]ヒト脳脊髄液はAβのオリゴマー化を抑制するが、その抑制は総蛋白濃度やAβの線維化を抑制すると報告されている蛋白や金属、更には電解質やブドウ糖など以外の因子によると考えられる。
3: やや遅れている
我々が、候補に考えていた既知のヒト脳脊髄液中のAβ凝集抑制物質がAβオリゴマー形成抑制効果を示さなかったため、次の研究計画の練り直しに時間を要した。
Aβオリゴマー形成抑制物質が、どのような特性を持つものかを評価するため、フェノールクロロフォルム法での抽出(脂溶性か水溶性かの評価)およびProtease Kの脳脊髄液の抑制力への影響の観察(タンパク質/ペプチドか否かの評価)を行う。蛋白もしくはペプチドであれば、遠心カラムや高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などで分画にわけ、Mass Spectrometry(質量分析)での同定を試みる。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Neurobiol. Aging
巻: 33 ページ: 2172-2185
DOI:10.1016/j.neurobiolaging.2011.10.015
巻: 33 ページ: 2006-2017
DOI:10.1016/j.neurobiolaging.2011.07.009
Neurol. Sci
巻: 33 ページ: 399-402
DOI:10.1007/s10072-011-0751-9
J Biol Chem
巻: (in press)
doi:10.1074/jbc.M111.325456
J Neurosci
Geriatr Gerontol Int
巻: 32 ページ: e1-e12
DOI:10.1016/j.neurobiolaging.2010.05.004
Acta Neurol Berg
巻: 111 ページ: 374-375
J Alzheimers Dis
巻: 27 ページ: 271-280
10.3233/JAD-2011-110455
Nucl Med Commun
巻: 32 ページ: 1128-1133
10.1097/MNM.0b013e32834b43c2
Neurobiol Dis
巻: 43 ページ: 715-724
doi:10.1016/j.nbd.2011.05.025
J Neurochem
巻: 117 ページ: 19-28
10.1111/j.1471-4159.2011.07187.x.
Exp Neurol
巻: 228 ページ: 298-302
doi:10.1016/j.expneurol.2011.01.011
Joint Bone Spine
巻: 78 ページ: 316-318
doi:10.1016/j.jbspm.2010.12.008
http://neurology.w3.kanazawa-u.ac.jp/