研究課題/領域番号 |
22790824
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
植木 美乃 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (40467478)
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キーワード | ドパミン / 脳可塑性 / パーキンソン病 / 運動学習 / 脳機能イメージング |
研究概要 |
平成22年度は、健常被験者に対して、手指運動強化課題によって誘導される内因性ドパミン量と運動皮質の脳可塑性をそれぞれ非侵襲的脳機能研究法である[^<11>C題-ラクロプライドPETと経頭蓋的磁気刺激法(TMS)を用いて多面的に評価する新たな手法を確立した。 具体的には、1)ラクロプライドPETを用いた評価では、手指運動強化課題中に、大脳基底核(特に線条体)に内因性ドパミンが誘導されるかをドパミンD2受容体の可逆性アンタゴニストであるラクロプライドBinding Potential;BP変化量として定量化した。2)TMSを用いた大脳一次運動野の脳可塑性の評価では、大脳一次運動野にTMSを与え、運動皮質の脳可塑性をMotor evoked potential;MEP変化率で指標化した。平成23年度は、前年度に健常者で確立した手法をパーキンソン病患者に適応した。その結果、健常被験者では、手指運動強化課題により非効き手である左手指の運動機能が強化されると同時に、右(対側)線条体に内因性ドパミンが放出されることが証明された。しかしながら、パーキンソン病患者では運動機能が強化されなかった。さらに、手指運動強化課題による運動強化率と、運動皮質の脳可塑性が相関することが証明された。以上より、ヒトの運動強化に線条体のドパミンが重要な役割を果たすことが証明され、さらに、それが運動皮質の脳可塑性と関連している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常被験者に対する非侵襲的脳機能画像法を用いた多面的手法の確立は終了し、海外英文誌での報告も完了した。すでにパーキンソン病患者8名に対し同手法を適応し、パーキンソン病では運動強化が障害されている結果も出ている。
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今後の研究の推進方策 |
パーキンソン病患者の行動学的評価はすでに行っているため、今年度は、画像的な解析をさらに追加していく。 また、健常者とパーキンソン病患者での^<11>C1-ラクロプライドPETの結果を統計学的に比較検討し、海外学会での報告をすると同時に海外誌への論文報告を目指す。さらに、3年間の研究を総括し、パーキンソン病患者でのドパミン治療とリハビリテーションを統合させた新たな治療方針を社会に向けて提案・発信することを目指す。
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