研究課題/領域番号 |
22790826
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
杉江 和馬 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60347549)
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キーワード | オートファジー / ミオパチー / Danon病 / 自己貪食空胞 / 自己貪食空胞性ミオパチー / リソソーム / 縁取り空胞 / 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー |
研究概要 |
「自己貧食空胞性ミオパチー(AVM)」は病理学的に極めて特徴的な自己貪食空胞を有する稀少な筋疾患で、根治療法はない。発症機序として、生体防御の機構であるオートファジーの関与が疑われるが、依然原因不明である。本疾患の空胞には、1)1次性リソソーム異常によるDanon病を代表とする筋鞘膜の性質をもつ自己貪食食空胞(AVSF)、2)2次性リソソーム異常による縁取り空胞(RV)、がある。 平成23年度は、1次性リソソーム異常によるAVMについて、本邦初の国内実態調査を全国2617の関連施設に行い臨床病態解析を試みた。集計結果から、Danon病12家系27例、過剰自己貪食を伴うX連鎖性ミオパチー(XMEA)1家系3例などを確認した。Danon病の発症年齢は男性10代、女性30代で、平均死亡年齢は男性20代、女性40代であった。ミオパチーと肥大型心筋症を示し、死因は心不全であった。一方、XMEAと先天性AVMはミオパチーのみで心筋障害は稀であった。今回の調査では臨床病型により重症度や発症年齢、合併症、生命予後は大きく異なっており、AVMは超稀少疾患であるため治療を含めた診療ガイドラインの作成が必要と考えられた。 またAVMの生検筋を用いた新規の空胞に関連する蓄積性蛋白であるTDP-43とFUSについて、病理学的および生化学的解析で筋組織での局在・機能について検討を行ってきている。TDP-43は、RVを伴うAVMの自己貧食空胞で過剰な沈着を病理学的および生化学的に確認した。一方、FUSは生化学的な発現は認めたが、病理学的には発現を確認できなかった。今後は、他のAVM患者(Danon病とXMEA)や各モデルマウスの生検筋を用いて、TDP-43とFUSの発現や、さらには、リソソーム・エンドソーム経路およびオートファジー機構に関与する物質の局在・機能について筋病理学的検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、1次性リソソーム異常によるAVMの国内初の実態調査を遂行できた。また、主要な基礎研究のテーマである、新規の空胞に関連する蓄積性蛋白であるTDP-43とFUSの生化学的解析を筋疾患において行うことができ、有意義な知見を得た。本結果および成果から、来年度、リソソーム・エンドソーム経路に関連する物質や各種蛋白の糖化およびリン酸化機構の筋組織での病理学的発現の研究を計画することができた。おおむね当初の計画通りに研究が行えていると自負している.
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年である平成24年度は、研究代表者が客員研究員である国立精神・神経医療研究センターには、世界で最多の自己貪食空胞性ミオパチー患者の臨床情報を管理しており、疾患概念を確固たるものにすべく、臨床情報の整理、把握、および統計学的解析を行う。さらに、前年度に引き続き、新規患者を発見し、臨床情報から共通する臨床病態の解析や治療方法の情報収集を行っていく。 また、自己貪食空胞性ミオパチー患者(Danon病、DMRV)と、Danon病モデルマウスとDMRVモデルマウスの筋組織の解析として、新規の空胞に関連する蓄積性蛋白であるTDP-43とFUSについて、病理学的および生化学的解析を行って筋組織での局在・機能について検討を行う。さらに、前年度に引き続き、リソソーム・エンドソーム経路およびオートファジー機構に関与する物質や各種蛋白の糖化(O-GlcNacaion)およびリン酸化機構についても、病理学的解析を行う。
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