研究課題
「自己貪食空胞性ミオパチー(AVM)」は病理学的に極めて特徴的な自己貪食空胞を有する稀少な筋疾患で、根治療法はない。発症機序として、生体防御の機構であるオートファジーの関与が疑われるが、依然原因不明である。本疾患の空胞には、1)1次性リソソーム異常によるDanon病を代表とする筋鞘膜の性質をもつ自己貪食空胞(AVSF)、2)2次性リソソーム異常による縁取り空胞(RV)、がある。平成24年度は、23年度までに行った本邦初のAVMの国内実態調査(全国2617の関連施設)の結果で見出した、Danon病 12家系27例、過剰自己貪食を伴うX連鎖性ミオパチー(XMEA)1家系3例を中心に、詳細に臨床症候を調査した。Danon病では、致死性心筋症が予後決定因子として重要で、心機能のフォローが必要不可欠である。また、女性では、早期発症例や突然死を来す例が見つかり、女性における病態解析も重要である。新規患者としてDanon病女性1例を発見し、網膜症と軽度知能低下を合併していた。Danon病とXMEAについては、臨床症状と筋病理所見、遺伝学的結果を再精査し、日本神経学会にて承認を受けるべく新しく診断基準を作成した。また、昨年度に引き続き、新規の空胞に関連する蓄積性蛋白であるTDP-43とFUSについて、AVMの筋組織での局在・機能について検討を行った。TDP-43は、RVを伴うAVMのヒトとモデル動物で、自己貪食空胞での過剰な蓄積を病理学的と生化学的に確認した。一方、FUSはいずれにおいても生化学的な発現は認めたが、病理学的には発現を確認できなかった。さらに、Danon病の患者とモデル動物の筋組織で、リソソーム・エンドソーム経路に関与する蛋白VAMP-7, Rab5, TfR, LC3はいずれも過剰蓄積を筋病理学的に認めた。Danon病におけるリソソーム・エンドソーム系の亢進を明らかにした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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