まず、in vitro脳虚血モデルにおいて正常脳細胞、脳組織がどのような影響をうけるかについての基礎実験を行った。培養液中のグルコース濃度の変化がSDラットの新生仔大脳皮質由来アストロサイト、E16ラット皮質線状体由来ユユーロンのエネルギー代謝に与える影響を検討した。ニューロンにおいては細胞外グルコース濃度の変化はエネルギー代謝に影響を与えなかったが、アストロサイトにおいては細胞外グルコース濃度の上昇により、oxidative metabolismの抑制が認められた。さらに、アストロサイト、ニューロンの虚血再灌流傷害に対する分泌型白血球ペプチダーゼ阻害物質(SLPI)の効果を検討するために、低酸素/無グルコース負荷中の培養液にSLPIを添加しcell viabilityに対する効果を検討した。ニューロンについては2時間、アストログリアについては6時間低酸素/無グルコース負荷を行い、その後培養液を通常のメディウムに交換、通常のインキュベーターに静置し再灌流を行った。再灌流後ニューロンは6時間、アストロサイトは24時間後にviabiity評価のためのAlamar Blue(AB)アッセイを行った。アストロサイトでは低酸素/無グルコース負荷中にSLPIを添加してもcellviabilityに変化を認めなかったが、ニューロンではSLPIの添加によりAB還元の上昇を認めた。脳虚血時のSLPIに対する反応はニューロンとアストロサイトで異なる可能性が示唆された。
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