本研究の対象家系である2家系の常染色体劣性遺伝性で高齢発症のパーキンソン病家系のうち1家系は、同胞8人のうち3名がパーキンソン病を発症していた。しかしながら実施期間中に新たに1名がごく初期のパーキンソン病を発症していることが明らかになった。そこで、改めてSNPsチップをもちいたゲノムワイド連鎖解析を行った。さらに2家系のそれぞれ2名の患者(合計4名)について全エクソンシークエンス(エクソーム解析)を実施した。まず、2家系の祖先は共通であると仮定し連鎖解析を2家系合計して行った。その結果、HLOD>1の推定連鎖領域を7カ所見出した。次に2家系が独立した家系であると仮定してそれぞれの家系について連鎖解析を行った。その結果、HLOD>1の推定連鎖領域を家系1から10カ所、家系2から14カ所見出した。連鎖解析の結果とエクソーム解析の結果を統合し、患者特異的遺伝子変異を探索した結果、家系1と家系2が共通祖先であると仮定した場合、患者共通の特異的遺伝子変異は1つも見出せなかった。一方、それぞれ独立した家系であると仮定した場合は、家系1から6種、家系2から19種の患者特異的遺伝子変異を見出すことに成功した。家系1から見出された変異は非翻訳領域に存在するものが4種でミスセンス変異が2種だった。一方、家系2から見出された変異は非翻訳領域に存在するものが17種、ミスセンス変異が1種、フレームシフト変異が1種だった。
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