研究課題
本研究では、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)によって引き起こされるHTLV-1関連脊髄症(HAM)において、我々が新規に同定した炎症性サイトカインIFN-γを異常産生しHAM免疫病態を引き起こす原因細胞と想定されるHAM病原性T細胞(IFN-γ+CD4+CD25+CCR4+T細胞)のHTLV-1依存的な発生機構を明らかにし、HAM病態の理解に貢献することを目的とした。これまでに、IFN-γの発現を直接誘導するTh1マスター転写因子T-betがHAM由来CD4+CD25+CCR4+T細胞においてTax依存的に発現誘導されることを見出した。また、T-betの遺伝子発現におけるTaxの作用機構の解析により、HTLV-1感染細胞株を用いた免疫沈降実験から内在性TaxとSp1の相互作用を確認し、TaxおよびSp1がT-betプロモーターにリクルートされていることを示した。また、Tbx21/T-betプロモーターを用いたルシフェラーゼアッセイからTaxがSp1依存的にTbx21/T-betプロモーター活性化し得ることを明らかにした。さらに、健常者CD4+CD25+CCR4+T細胞へのTax導入により、Tregの抑制機能の減弱を明らかにした。以上の結果から、HAMのHTLV-1感染細胞におけるTaxの発現は、T-betの転写活性化を介してIFN-γの発現を誘導することにより、炎症促進的なIFN-γ産生Th1様細胞への可塑的変化をもたらし、HAM病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、HAM病変部である脊髄病理および髄液細胞における解析より、可塑的変化したHAM病因細胞の存在を確認し、実際にHAM病態形成に重要な役割を担っていることを示唆する結果を得た。
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