最初に、ALSモデルマウスの脊髄病巣におけるマイクログリアの挙動を免疫染色にて評価した。SOD1G85Rトランスジェニックマウス発症期の脊髄の免疫染色から、マイクログリアがSOD1凝集体を細胞内に取り込んでいる、もしくは取り囲んでいる像を得た。このことから、マイクログリアが完全にSOD1凝集物を消化しきれていない、frustrated phagocytosisの状態を反映している可能性が考えられた。次に、凝集物の貪食細胞内への取り込みを評価する目的で、Flow Cytometryにより貪食細胞内の蛍光ビーズを定量する測定系を確立した。その系を用いて直径1μmポリスチレンビーズの細胞内取り込み能力を、初代培養により調整した、SOD1G85R発現マイクログリアと野生型マイクログリアで比較したが、特に違いを認めなかった。SOD1WTfibril又はSOD1G85Rfibrilを培地に添加すると、一部は培地中で凝集した後にマイクログリア内に取り込まれることを確認した。そこで、SOD1G85Rをビーズに吸着させて、変異SOD1凝集物擬似体を作成し、SOD1G85R発現マイクログリアと野生型マイクログリアへの取り込み能を測定したが、明らかな有意差を認めなかった。
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