研究課題
前年度の研究で、ケモカインMCP-1を大量放出するミクログリア株がアミロイド病理を悪化したことを明らかにした。また、MCP-1の中和抗体を併用したアミロイド免疫療法では、MCP-1中和抗体を用いない場合に比べ、治療効果の向上と炎症反応の抑制が認められた。MCP-1を治療ターゲットとする創薬戦略の妥当性を示した。今年はMCP-1の受容体であるCCr2に関して、AD病態の進行における役割を調べた。まず、AD脳及びADモデルマウスにおけるCCr2の発現誘導を調べるため、特異性の高い抗体が不可欠である。従って、市販されている抗CCr2抗体の特異性を調べた。その結果、数種類の市販抗体をウェスタン、免疫染色で検討したが、CCr2を特異的に検出できる抗体が入手できなかったため、自作ペプチド抗体の作製を行った。CCr2蛋白のアミノ酸配列(マウスN末端3-17、ヒトN末端29-43)を抗原として、ウサギに感作し、ELISAで抗体の力価を確認して、全血を採血して、ここで得られた抗血清をアフィニティカラムで精製し、精製抗体を得た。これらの精製抗体をAD患者脳ならびにモデルマウスの摘出脳を用いて、検討したところ、ADの病理進行に従い、海馬領域を中心に主にグリア細胞に抗体染色性が顕著に検出されていることを確認した。この発現のパターンはヒト脳組織でもマウスモデル摘出脳でも同様に確認されたので、CCr2の発現を検出している可能性が高い。次の手順として、CCr2の遺伝子欠損マウスの脳組織で自作抗体の特異性を確認予定である。
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