遺伝性パーキンソン病モデル細胞におけるミトコンドリア・ミトファジー機能異常の解明

2011 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 22790841
• 研究機関: 防衛大学校
• 研究代表者: 天羽 拓 防衛大学校, 応用科学群, 助教 (40453922)
• キーワード: パーキンソン病 / ミトコンドリア

研究概要

孤発性パーキンソン病は、100-120人/10万人の高い頻度を示す神経変性疾患であり、疾患の進行抑制を含む根本的な治療法は存在しない。人口の高齢化に伴いその患者数は増加し、発症機序の解明や治療法の開発が強く求められている。パーキンソン病の発症機序には、近年ミトコンドリア機能不全やミトファジーの関与が指摘されている。本研究では、家族性パーキンソン病原因遺伝子の一つであるPINK1遺伝子欠損マウスより得たマウス胎仔由来線維芽細胞(MEFs)をパーキンソン病モデル細胞とし、この細胞のミトコンドリア機能が野生型と比較してどのように変化しているのかを調べた。昨年度の研究でPINK1欠損型ではミトコンドリアの膜電位が低下しおり、Modular Kinetic Analysisによりミトコンドリア機能を定量化することで、膜電位低下の原因がプロトンリークによるものではなく呼吸鎖機能の低下によるものであることを明らかにした。そこで本年度は呼吸鎖機能の詳細な解析を行うために、呼吸鎖酵素複合体I、II、III、IVの活性測定を実施した。さらに呼吸鎖酵素複合体量を定量するために、複合体構造を維持したまま電気泳動する手法であるBlue Native PAGEにより解析した。

研究成果

• [雑誌論文] Meat-type chickens have a higher efficiency of mitochondrial oxidative phosphorylation than laying-type chickens (2011)
  • 著者名/発表者名: Toyomizu M, Kikusato M, Kawabata Y, Azad MA, Inui E, Amo T
  • 雑誌名: Comp Biochem Physiol A Mol Integr Physiol 巻: 159 ページ: 75-81
  • DOI: 10.1161/CIRCRESAHA.111.243097
  • 査読あり
• [雑誌論文] Caloric restriction primes mitochondria for ischemic stress by deacetylating specific mitochondrial proteins of the electron transport chain (2011)
  • 著者名/発表者名: Shinmura K, Tamaki K, Sano M, Nakashima-Kamimura N, Wolf AM, Amo T, Ohta S, Katsumata Y, Fukuda K, Ishiwata K, Suematsu M, Adachi T
  • 雑誌名: Circ Res 巻: 109 ページ: 396-406
  • DOI: 10.1016/j.cbpa.2011.01.020
  • 査読あり
• [学会発表] Modular kinetic analysis as a powerful tool for investigation of mitochondrial bioenergetics (2011)
  • 著者名/発表者名: Amo T, Sato S, Saiki S, Kikusato M, Kawabata Y, Toyomizu M, Gautier C, Shen J, Ohta S, Hattori N, Brand MD
  • 学会等名: 第5回アジア酸化ストレス学会年会・第8回アジアミトコンドリア学会年会・第11回日本ミトコンドリア学会年会合同大会
  • 発表場所: 鹿児島市民文化ホール(鹿児島県)
  • 年月日: 2011-09-02