研究課題
ラ氏島内血管が著明に増加する膵特異的FoxO1トランスジェニックマウスから単離したラ氏島においてVEGFの発現量が有意に増加していることを確認した。しかしながら、HIF1αの発現量は変化していなかった。さらにFoxO1とVEGFの関係をin vitroで検討する目的で、培養β細胞を用いたルシフェラーゼアッセイを行った。VEGFにはFoxO1の結合部位を含む領域が存在し、それを含むルシフェラーゼベクターを作製し、解析した所、FoxO1の用量依存性にVEGFプロモーター活性が上昇した。さらにクロマチン免疫沈降法により実際にFoxO1がVEGFプロモーターに結合していることを確認した。また、培養β細胞にアデノウイルスを用いて活性型FoxO1を過剰発現させた所、VEGFのmRNAレベルが有意に増加した。膵特異的FoxO1トランスジェニックマウスはβ細胞が著明に減少しているが、インスリン分泌は比較的保たれており、血糖値の上昇、糖負荷試験での耐糖能の悪化の程度は軽度である。その理由として、このマウスのラ氏島では微小血管が増加しているためではないかと考えられた。一方、膵臓特異的FoxO1ノックアウトマウスのラ氏島内血管は変化しておらず、ラ氏島におけるVEGFの発現レベルもコントロールマウスと同程度であった。膵臓特異的FoxO1ノックアウトマウスは膵管細胞からのβ細胞の新生が増加しており、高脂肪食負荷時の耐糖能はコントロールマウスに比べて良好である。しかし、ラ氏島内の微小血管の変化はないことから、ラ氏島細胞のFoxO1はいくつかの異なる機序でβ細胞の量と機能に関与していると考えられた。
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PLoS ONE
巻: 7 ページ: e32249