研究課題/領域番号 |
22790845
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
藤本 昌紀 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20451742)
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キーワード | Twist1 / 動脈硬化 / 転写因子 / クロマチン会合分子 |
研究概要 |
TWist1の会合分子群を網羅的に同定するため、HA-tag、Flag-tag融合型TWist1アデノウイルスを作成している。これらのアデノウイルスを白色脂肪細胞株に感染させ、抗HA抗体、Flag抗体で免疫沈降し、SDS-PAGE、銀染色後、マススペクトロメトリーで会合分子群を同定するための、基礎検討を行っている。今後、実際の検討を行っていく。また、Twist1の発現により、遺伝子発現のプロファイルがどのように変化するかを検討した。マクロファージと脂肪組織においてTwist1が高発現している、ap2-Twist1-Transgenic(Tg)マウスおよび野生型マウスより、骨髄由来マクロファージを採取、RNAを抽出し、マイクロアレイにより検討を行った。結果として炎症や泡沫化に関わる幾つかの遺伝子群が、変化していることが判明した。そして、Twist1の動脈硬化巣における役割についての検討を行った。動脈硬化巣においては、マクロファージの炎症と泡沫化が重要な役割を果たすことが知られる。代表的な粥状動脈硬化モデルである高脂肪食負荷ApoE KOマウスで、免疫染色法にて評価したところ、動脈硬化巣の内膜下に浸潤しているマクロファージにおいて、Twist1が発現していた。また、動脈硬化巣で発現が上昇する炎症性サイトカインTNF-αでマクロファージを刺激すると、Twist1の発現が上昇することがわかった。一方、Twist1を強制発現したマクロファージでは、泡沫化は変化を認めなかったが、炎症は抑制されていた。さらに、in vivoにおける役割を検討するため、10週齢の♂Tg ApoE KO及び野生型ApoE KOマウスに抗コレステロール食負荷を10週間行い、大動脈弁口部の動脈硬化度を比較検討した。Tg ApoE KOマウスでは、野生型ApoE KOマウスに比して、約3倍動脈硬化が促進していた。現在、そのメカニズムを解明するため、さらなる研究を推進中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Twist1アデノウイルス及びTwistlRNAiレンチウイルスの作成に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
レンチウイルスによるノックダウンの系を確立したので、今後は実験が進むものと思われる。また、動脈硬化病変での検討と同時に、最近マクロファージの役割が注目されている白色脂肪組織での検討を開始している。Twist1の機能解析という意味では、また別のアプローチが可能と考えている。
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