絶食応答性転写共役因子PHF2の生体内高次機能を明らかにするため、PHF2 floxマウスに全身性Cre発現マウスであるCMV-Creを交配させることにより、全身性PHF2欠損マウスを作出し、解析を行った。肝臓において、PHF2 mRNAの発現は顕著に減少しており、PHF2は問題なく欠損していると考えられた。 全身性PHF2欠損マウスのホモは、野生型およびヘテロ欠損マウスに比べて出生数が少なく、胎生致死の個体が存在すると考えられた。また、出生した個体も野生型に比べ体重の減少を示した。これらの個体は明らかな内分泌異常を示さなかったが、脂肪重量の減少を認めた。また、絶食負荷による脂肪萎縮及び、肝臓における絶食応答が亢進しており、絶食応答の破綻が示唆された。但し、絶食負荷による血中の糖脂質パラメータに明らかな変動は見られなかったため、糖負荷試験やインスリン負荷試験など、より詳細な実験が必要であると思われる。 また、表現型の責任臓器を明らかにするため、肝臓特異的Albumin-CreやTamoxifen誘導性ERT2-CreとPHF2 floxを交配させた。ERT2-Cre-PHF2-floxの作出には成功したが、Albumin-CreとPHF2 floxは、遺伝子座が近傍にある交配パターンを示したため、別ラインのAlbumin-Creを入手する必要があると思われる。PHF2と複合体を形成するARID5Bのfloxの作出も終了し、Flpe発現マウスと交配させることにより、Neoを除去することに成功している。
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