研究課題
Epac2はcAMPが結合することにより立体構造が変化し、下流因子のRap1を非活性型のGDP型から活性型のGTP型に変換する。スルホニル尿素(SU)薬またはcAMPアナログおよびβ細胞内のcAMPを上昇させるGLP-1で刺激された膵β細胞内のGTP型Rap1の量を調べることにより、Epac2の機能変化を検討した。膵β細胞株において、GLP-1またはEpacを選択的に活性化させるcAMPアナログである8-pCPT-2'-O-Me-cAMP(8-CPT)の刺激によりGTP型Rap1が増加した。また、SU薬であるグリベンクラミド(GLB)、グリメピリド(GLM)の刺激によりGTP型Rap1が増加した。さらに、GLBと8-CPTの同時刺激により、それぞれ単独での刺激よりもGTP型Rap1が増加した。GLMとGLP-1または8-CPTの同時刺激でも同様にGTP型Rap1のさらなる増加がみられた。これらの結果から、SU薬とcAMPシグナルの組み合わせによりEpac2シグナルが増強されることが示された。次に、野生型マウスから単離した膵島を用いて、SU薬、GLP-1および8-CPTによるインスリン分泌を検討した。8.8mMグルコースにおいて、GLB、GLP-1および8-CPTの刺激によりインスリン分泌は増強したが、GLBとGLP-1または8-CPTの同時刺激により、インスリン分泌はさらに増加した。GLMとGLP-1または8-CPTの同時刺激でも同様な増強が見られた。また、4.4mMの比較的低濃度のグルコースにおいても、SU薬とGLP-1または8-CPTの組み合わせでインスリン分泌の増強が見られた。以上の結果から、SU薬とcAMPシグナルを組み合わせることによってインスリン分泌が増強され、その作用にはEpac2シグナルが関与することが示唆された。
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DOI:10.1016/j.cmet.2010.05.017
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