研究概要 |
平成22年度は、2型糖尿病患者(T2DM)36例、耐糖能異常者(IGT)12例、正常対糖能者(NGT)31例の計79例において、インスリン分泌能および抵抗性の評価を行った。すなわち、DeFronzoが提唱した高血糖クランプ法および高インスリン正常血糖クランプ法(DeFronzo RA : Am J Physiol 6 (237) E214-233, 1979)を連続して行った。 高血塘クランプ法では、200mg/dlの高血塘を維持するようブドウ糖注入を行い、第1相インスリン分泌(開始10分間のAUC IRI)および第2相インスリン分泌(60分後・75分後・90分後のIRIの平均)を評価した。第1相インスリン分泌は、NGT 298±145μU/ml・min、IGT 339±149μU/ml・min、T2DM 74±56μU/ml・minと有意にT2DMで低下していた(P<0.05)。また第2相インスリン分泌は、NGT 1720±1086μU/ml・min、IGT 1992±711μU/ml・min、T2DM 619±417μU/ml・minとこちらも有意にT2DMで低下していた(P<0.05)。また高インスリン正常血糖クランプ法では、グルコース注入率(Glucose Infusion Rate : GIR)は、NGT 10.6±2.1mg/kg/min、IGT 7.2±2.5mg/kg/min、T2DM 6.9±2.6mg/kg/min、と有意にT2DMで低下していた(P<0.05)。終了時の血糖およびIRIで補正したものをインスリン抵抗性指標(insulin sensitivity index : ISI)とするが、GIRと同様の結果であった。 これら高血塘クランプによる第1相インスリン分泌と、高インスリン正常血糖クランプによるISIの積を新規インスリン分泌評価法disposition indexとすると、NGT 40.2士15.3、IGT 23.6±17.3、T2DM 48±3.3と3群間で有意な差を認め(P<0.05)、NGT、IGT、T2DMと進行するにつれて低下していた。 また、同意を得たうえで、末梢血よりDNAを抽出し、TCF7L2、KCNQ1などの報告された遺伝子多型のタイピングを開始した。
|