我々は、1型糖尿病病態解明についての研究を行っている。 新しいヘルパーT細胞サブタイプ、"TH17"の関与を検討する目的で、IL-17遺伝子欠損NODマウスのインスリン自己抗体発現、膵島炎、糖尿病進展の検討を行った。現在、IL-17遺伝子欠損NODマウスにおける、膵島炎の抑制、糖尿病発症遅延が確認され、糖尿病未発症マウス(10週齢)由来のCD4^+CD^<25->エフェクター細胞の養子移入ではNOD-IL17^<-/->マウス由来の細胞の糖尿病誘導能がほぼ消失していた。このことから、1型糖尿病病態に、Th17が深く関与している可能性が示された。 これまで、関節リウマチ、多発性硬化症などの自己免疫疾患へのTh17の関与の報告はあるが、本結果は1型糖尿病におけるTh17の重要性を、世界に先駆けて証明した研究として非常に重要な結果であると考える。 さらに、IL-17の早期の糖尿病進展への関与について、より詳細に検討するために、IL-17ホモ欠損RIP7-B7H-2^dマウスを作製した。このマウスにインスリンB鎖ペプチドを免疫し、その後のインスリン自己抗体発現、膵島炎浸潤、糖尿病発症について、IL-17(+)-RIP7-B7 H-2^dマウスと現在比較検討中を行ったが、有意な差は得られなかった。また、IL-17欠損RIP7-B7 H-2^bマウスを作製済で、このマウスにPoly I:Cを投与し、その後のインスリン自己抗体発現、膵島炎浸潤、糖尿病発症について、RIP7-B7 H-2^dマウスとの現在比較検討中である。
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