今回の研究ではASK1が糖尿病の病態に関与する分子生物学的メカニズムの解明と治療への応用を目的とし、ASK経路が2型糖尿病で認められるインスリン抵抗性に関与しているか否かをASKノックアウトマウスおよび2型糖尿病モデルマウスにアデノウイルス投与によって検討した。 その結果として、DN-ASKアデノウイルスをdb/dbマウスの肝臓に高発現したところ400-500mg/dlを認めていた血糖値が100mg/dl前後にまで低下し、その状況は数日間継続を認めた。つまり、肝臓でのインスリン抵抗性改善により耐糖能障害の改善を認めることが出来た。現在安定同位体を用いたグルコースクランプ法による肝臓、末梢組織でのブドウ糖利用率などについては検討途中である。つまり肥満であるインスリン抵抗性著明に認められる病態にはASK経路の抑制が重要であることがわかった。 また、ASKKOマウスに脂肪負荷を行い、ブドウ糖負荷試験を行ったところ、コントロールマウスに比して耐糖能障害の改善を認めた。更にグルコースクランプ法で測定したところ、インスリン抵抗性の改善を認めた。肝臓、骨格筋を含む末梢組織でのブドウ糖利用率などについては検討中である。つまり食事摂取過剰により誘導されるインスリン抵抗性の病態にもASK経路の抑制が重要であることがわかった。 以上より糖尿病状態(インスリン抵抗性が著明に認められるような病態)でのASK経路は重要であることがわかった。
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