本研究は、日本人で最も関連性の高い2型糖尿病遺伝因子KCNQ1の膵β細胞における機能意義を明らかにする為におこなった。まず、ラット膵β細胞株INS-1やマウス単離膵島で糖尿病遺伝因子Kcnq1が発現していることが認められた。また、INS-1細胞に発現するKcnq1は、インスリン分泌の制御に関与していることが示唆された。一方、KCNQ1の責任SNPの機能を解析する為、KCNQ1責任SNP(rs2237892)を含むイントロン15領域を詳細に解析した結果、種間で保存性の高い新規転写産物を同定した。遺伝因子と環境因子の影響を検討する為に、INS-1細胞のインスリン分泌に及ぼすパルミチン酸暴露とKcnq1遺伝子発現抑制との関連性を検討したが、明らかな関連性は認められなかった。
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