DBAのin vitro培養細胞モデルでは、shRNAでの原因遺伝子RPS19の発現抑制によりオートファジーの活性化を引き起こす可能性がこれまでの本研究により示唆されていたが、shRNAでRPS19を抑制したU2OS細胞で電子顕微鏡写真を撮ったところ、脂質2重膜構造を持ったオートファゴソームの過剰な形成が多数確認でき、電子顕微鏡観察においてもオートファジーの活性化を確認した。Primary細胞でも同様の現象が認められるか確かめるために骨髄CD34+細胞(市販品)にRPS19のshRNAを導入し、フローサイトメーターでCD71赤芽球表面マーカーで赤芽球前駆細胞を分収し、Primary赤芽球前駆細胞におけるオートファジーマーカーLC3の発現を免疫染色にて確認した。その結果、CD71強陽性の分画でLC3小胞の数が有意に増加し、赤芽球前駆細胞でオートファジーが活性化されていることが明らかとなった。 また、患者検体を用いてDBA疾患細胞内でのオートファジーの活性化について検討を試みたが、DBAは極めて稀な先天性貧血であることから患者の血液の入手は困難を極め、実験に十分な量の血液を入手することは出来なかった。そこで、これまでDBAの遺伝子解析研究等で構築したDBAの担当医師や研究者とのネットワークを活用し、DBA由来疾患iPS細胞を研究に利用できるようにする目的で、DBA疾患iPS細胞の樹立の準備に取りかかった。現在6症例のDBA患者からiPS細胞作製の同意にまで至っており、順次樹立する計画を整えた。
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