研究概要 |
研究代表者らが提唱したインテグリンと増殖因子受容体の"two-receptor"モデルに関して、A)「インテグリン非結合増殖因子変異体」が細胞増殖を抑制するか否か、そしてB)インテグリンからのシグナルと増殖因子受容体からのシグナルが細胞内でどのようにクロストークしているか、を解明するために培養滑膜細胞を用いて研究を行い、以下の知見を得た。 1.野生型FGF1(fibroblast growth factor-1)は培養滑膜細胞のアポトーシスを抑制したが、「インテグリン非結合FGF1変異体」は反対にアポトーシスを誘導した。2.「インテグリン非結合FGF1変異体」はBcl-2 family proteinの発現を制御することによって、滑膜細胞のアポトーシスを誘導することを見出した。3.野生型FGF1は、細胞増殖に必須と考えられているERKの持続的活性化を誘導したが、「インテグリン非結合FGF1変異体」はERKを一時的活性化したものの、活性化を維持できなかった。4,さらに網羅的に解析を行うために、野生型FGF1あるいは「インテグリン非結合FGF1変異体」をそれぞれ培養滑膜細胞に添加し、時間経過をとってRNAを回収してcDNA microarrayによる解析を行った。得られた結果からクラスター解析及びパスウェイ解析を行い、インテグリンシグナルによって制御されている遺伝子(群)を明らかにした。さらにreal-time PCR法を用いて確認を行った。
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