研究課題
小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(Wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis: WDEIA)は、小麦製品を摂取した後、運動負荷などの二次的な要因が加わって発症する小麦アレルギーの一病型である。主要な抗原として、ω-5グリアジンと高分子量グルテニンが同定されている。リコンビナントω-5グリアジンを抗原とした抗原特異的IgE検査 (CAP-FEIA法) は、既存の小麦およびグルテンを抗原としたCAP-FEIA法よりも感度および特異度が高く、患者の8割が検出でき、WDEIAの診断に有用であることが明らかとなっている。残りの2割のWDEIA患者は高分子量グルテニンによって検出されることが予想される。そこで、リコンビナント高分子量グルテニン (rHMW-G) を用いたCAP-FEIA法の有用性について検討した。rHMW-Gは大腸菌にてヒスチジンタグ付きタンパク質として発現させ、ニッケルアフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。精製したrHMW-GはCAP-FEIAに固相化した。48名のWDEIA患者、16名のアトピー性皮膚炎患者、12名の健常人の血清を対象とし、rHMW-Gに対する特異的抗体価をCAP-FEIA法を用いて測定した。rHMW-Gを用いたCAP-FEIA法は、小麦から精製したnative 高分子量グルテニンを用いたCAP-FEIA法よりも非特異的な反応が少ないことが明らかとなった。rHMW-Gの感度および特異度は、16.7%、92.9%であったが、リコンビナントω-5グリアジンに対する結果を加えると、感度および特異度は93.8%、92.9%であった。この結果から、rHMW-Gは、CAP-FEIA法の固相化に安定であり、rHMW-Gを用いたCAP-FEIA法は、WDEIAの診断に有用であることが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 掲載確定 ページ: 掲載確定
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