研究課題
高感度関節画像検査と免疫学的実験手法を組み合わせ、関節リウマチ(以下、RA)の真の寛解と病態を解明する。自己抗体(IgM-RFもしくは抗CCP抗体)と手指関節MRI骨髄浮腫陽性の診断未確定関節炎(以下、UA)および発症6ヶ月以内の早期RA対象の前向き早期治療介入研究を遂行中である。登録症例中、12カ月間経過観察可能であったUAは13症例であった。RAへの移行は7症例(54%)、疾患活動性ではDAS28-ESR寛解到達は7症例(54%)、DAS28-CRP寛解到達は9症例(69%)、CDAI寛解到達は8症例(61%)であった。治療開始薬は基本的にMTXでTNF製剤併用を要したのは2症例(15%)であった。経過中、疾患活動性は初診時よりも40~80%低下、炎症マーカーであるCRP、ESR、MMP-3は40~70%減少、自己抗体では抗CCP抗体は上昇、IgM-RFは20%低下した。手指関節MRI骨髄浮腫スコアが治療前の1/3以下まで改善した8症例ではModified Genant-Sharp scoreによる骨関節破壊が認められなかったが、そうでなかった5症例は80%が進展した(p<0.01)。骨髄浮腫スコア改善によりRAへの移行は減少傾向を認めたが、寛解率は有意差を認めなかった。初診時の骨髄浮腫は将来のX線関節破壊の強力な予測因子であり、治療による顕著な改善はX線関節破壊を抑制した。関節パワードップラー超音波検査は疾患活動性(DAS-28、SDAI、CDAI)や血清VEGF、MMP-3値と相関を認めることが判明した。早期治療介入によりRA移行抑制効果が認められた。真の寛解の解明には今後のフォローが必要である。
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