核酸(DNA)、タンパク質に続く第三の鎖状生命分子として、近年糖鎖分子が大きな注目を浴びている。自己免疫においては、糖鎖の作用の大部分は糖鎖異常に陥った側鎖の部分が影響している。シェーグレン症候群(SjS)患者唾液腺内に糖鎖異常に陥ったムチンの存在を証明する。その後精製したムチンの生理活性、構造、能用機序などを解明することで、SjSの病因機序における役割を明らかにし、SjSの唾液腺炎特異的な治療薬のターゲットとして、SjS治療への応用を検討していく。 本年度(平成22年12月1日~平成23年3月31日)では、12月からの開始であり、本研究においては倫理委員会への申請が必要であったために、申請許可が下りてからの実験となった(申請番号C-907)。 シェーグレン症候群(SjS)における病因としてのPGE2・サイトカイン誘導性ムチンの研究として、京都府立医科大学耳鼻咽喉科坂口博士の協力のもと、シェーグレン症候群患者より口唇組織を採取し、その内部に糖鎖異常に陥ったムチンの存在証明と、その生理機能の検討を行っている。患者に同意を文書で得た後に、耳鼻咽喉科にて唾液腺生検を施工し患者唾液腺を、内科外来においてはガムテストを施行し患者唾液成分を保存している。現在のところ合計8例の組織と唾液を得ている。それらの標本はホルマリン固定もしくは凍結保存し、ゲルろ過法を用いてムチン成分の有無を調査中であり、また同時に免疫染色、RNA抽出、Western blot法などで蛋白の存在を検討中である。
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