同意を得た関節リウマチ(RA)患者の血清(46例)もしくは関節液(27例)を用いて、ELISAにてインターロイキン33(IL-33)濃度を測定した。その他、IL-1β、TNFα、IL-6、IL-8、IL-17についても測定を行った。結果、抗TNF治療抵抗性のRAにおいて、持続的な血清および関節液IL-33濃度の上昇を認めた。また、関節液IL-33濃度とIL-1β濃度との間には統計学的有意な正の相関が認められた。 続いて、培養実験を行い、RA患者由来の線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)において、IL-1βが比較的特異性の高いIL-33の誘導因子であることを証明した。これは、関節液IL-33濃度とIL-1β濃度との間に正の相関が認められた結果と関連付けられ、抗TNF治療抵抗性のRAにおいて血清と関節液とのIL-33濃度が高い理由として、IL-1β/IL-33系の持続的な活性が関連すると結論付けた。 続いて、血清および関節液を用いてウェスタンブロッティングを行い、抗ヒトIL-33抗体を用いてIL-33タンパク質の検出を行った。ウェスタンブロッティングでは約30KDa付近にELISAの検出値と相関するバンドが認められ、その他に検体によって25KDa、20KDa、15KDa付近にバンドが検出された。約30KDaのバンドはFLSにおいて発現するIL-33タンパク質とほぼ同じ分子量であり、活性型IL-33と考えられた。25KDa付近のバンドはヒトのサンプルにおいて恒常的に発現しており、非特異的なバンドの可能性が高かった。一方、20KDa、15KDaのバンドは一部の検体で検出され、その分子量より我々が発表した(Biochem Biophys Res Commun 2009;387:218-22)カルパイン切断型IL-33の可能性が示唆された。しかしながら、IL-33はカスパーゼ-3、-8など様々なプロテアーゼで修飾されることが近年報告されており、検出されたものがカルパイン切断型IL-33と断定できていない。今後、カルパインを誘導ないし阻害する条件下にてIL-33タンパク質の発現変化を観察する。また、エドマン分解によるカルパイン切断部位の同定や、カルパイン切断型IL-33の機能解析を行いたい。
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