研究課題
申請者らは、ダニに含まれる多糖類の一つであるキチンが、アレルギー性喘息誘導を増強することを動物モデルにおいて見出した。そこで、キチンによるアレルギー応答増強機構の解析を試みた。1.新規キチン結合タンパク質の同定とその機能評価キチン結合能を有するキチン分解酵素ファミリー分子が、アレルギー性疾患の発症や病態と強く相関することが報告されている。キチンによるアレルギー応答増強機構にも、これらキチン結合性分子の関与が推定される。そこで、マウス肺よりキチン結合性分子として、4分子を分離・同定した。キチンによるアレルギー応答増強機構におけるこれらの分子の関与及び機能を明らかにするため、それら分子を欠損する胚性幹細胞(ES細胞)を購入し、各遺伝子欠損マウスの樹立を試みている。2.キチンによるアレルギー応答増強機構へのTh2関連サイトカインの関与IL-25、TSLP及びIL-33といったサイトカインが、Th2型免疫応答を介したアレルギー応答に重要であることが知られる。そこで、キチンをマウスに経鼻投与し、肺におけるこれらサイトカインのmRNA発現量を検討した。その結果、キチンはIL-33 mRNA発現を有意に増強した。次に、これらサイトカインが、キチンによるアレルギー応答増強機構に関与するか検討する目的で、IL-25欠損、TSLP受容体欠損もしくはST2(IL-33受容体)欠損マウスを用いて、OVA+キチンの経鼻感作によるアレルギー性喘息マウスモデルを作製した。その結果、野生型マウスと比較して、ST2欠損マウスでのみ、肺における好酸球浸潤、血清IgEレベル、脾臓細胞によるOVA特異的IL-4産生の有意な低下が見られた。これらの結果から、キチンによるアレルギー応答増強機構において、IL-33/ST2経路が重要であることが明らかとなった。
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Allergol Int.
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