花粉やダニにはアレルギーに関与する各種の物質が含まれている。花粉は各種酵素や脂質メディエーターを含有しており、パパインやダニアレルゲンはプロテアーゼ活性を示す。パパインのプロテアーゼ活性は好塩基球にIL-4を誘導することがこれまでに報告されている。本研究では花粉、ダニアレルゲン、パパインへの樹状細胞および好塩基球の応答と、アレルギー性気道炎症モデルの解析を行った。基質ペプチドの分解に伴う発色を測定することにより花粉由来プロテアーゼの活性が示された。花粉抽出物からELISA法を用いてエイコサノイド類縁脂質が検出された。花粉内でのNADPHオキシダーゼの局在を、基質と花粉との反応により明らかにした。マウス樹状細胞と好塩基球を花粉およびダニアレルゲンで刺激しサイトカイン産生、表面分子発現をELISA、FACSで解析した。花粉は樹状細胞の成熟化とサイトカイン産生を誘導したがIL-12は誘導しなかった。一部の花粉とダニアレルゲンは好塩基球にIL-4を誘導した。マウスへのスギ花粉、ダニアレルゲン、パパインの経鼻投与でアレルギー性気道炎症が誘導された。これらの結果から、花粉由来物質やダニアレルゲンが樹状細胞や好塩基球に作用すること、マウスアレルギー性気道炎症モデルではアレルゲン原因生物に由来する物質がTh2アジュバントとして作用することが示された。
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