研究課題
自己免疫やアレルギー疾患の発症機構においてIL-17ファミリーサイトカイン(IL-17A-F)の役割を解明する目的で研究を行っている。本研究では、IL-17AとIL-17Fの機能だけでは説明しきれないアレルギー性喘息の発症および病態形成の分子機構について、IL-25(別名IL-17E)とIL-17Bの機能の解明を試みている。IL-25とIL-17Bの役割を評価するにあたり、個体モデルで気道過敏症を解析する必要があり、既に存在するIL-25欠損マウスを入手し、IL-17Bについては新しく欠損マウスの作製を試みた。IL-17Bのタンパク質が発現しないようにターゲッティングベクターを構築し、これをC57BL/6背景のES細胞へ導入することにより相同組換え体を得た。組換えを確認できたES細胞をICR由来の8細胞期胚とアグリゲーションによりキメラを得ることに成功した。このキメラマウスを用いて次年度以降にIL-17B欠損マウスを解析する。気道過敏症におけるIL-25の役割を明らかにするため、C57BL/6背景のIL-25欠損マウスにOVAを感作する方法で炎症を誘導した。その結果、IL-25欠損マウスでは気道過敏症が有意に抑制され、炎症誘導に重要な役割を果たしていることがわかった。このとき、IL-25はTh2の活性化に関わるのではなく、直接炎症を誘導することが示唆された。炎症誘導時のIL-25産生細胞は、T細胞やマスト細胞といった造血幹細胞由来の系譜の細胞からではない細胞から産生されることを明らかにした。
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Allergol Int.
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DOI:10.2332/allergolint.10-OA-0218
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