Mucosal-Associated Invariant T細胞(MAIT細胞)は腸管に多く存在する自然リンパ球であると考えられており、多発性硬化症モデルにおいては病態抑制に作用していることが示唆されている。本研究では、関節炎病態におけるMAIT細胞の役割を解明し、関節リウマチなどの関節炎治療のターゲットとしての可能性を探ることを目的とした。本年度は、関節リウマチなどの関節炎動物モデルであるコラーゲン誘導関節炎(CIA)や、関節炎の炎症期の解析に用いられる抗体誘導関節炎(CAIA)におけるMAIT細胞の機能について解析を行った。 MAIT細胞を欠損するマウスはCIAおよびCAIAの病態が軽症化した。しかしMAIT細胞の存在に関係なくタイプIIコラーゲンに対する獲得免疫系の応答は確立されていたことから、MAIT細胞は関節炎の炎症期の増幅に作用すると考えられた。さらにMAIT細胞はT細胞受容体刺激だけでなくサイトカイン刺激により活性化することが明らかとなった。MAIT細胞はIL-23の刺激により自己免疫疾患を重篤化させるIL-17を産生し、IL-1β刺激により強く増殖することが示された。以上の結果より、MAIT細胞は環境に応じて機能が変化し、関節炎モデルにおいは病態増悪に作用すると考えられた。
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