研究課題
A群溶血性レンサ球菌(Group A Streptococcus : GAS)は、通常上気道粘膜もしくは皮膚表面で局所感染を引き起こすが、劇症型溶血性レンサ球菌感染では急激なショックと菌血症を伴う致死的全身感染となる。劇症型感染臨床分離株において遺伝子発現パターンに変化が認められる一方、発症には宿主要因の関与が示唆されている。しかし、劇症型感染発症と病態に対する炎症メディエーターの関与は不明である。本研究ではまず血中サイトカイン量について検討した結果、ヒト劇症型感染例において種々のサイトカインの中でも血中インターフェロン(IFN)-γ産生量が顕著に増加していることを明らかにした。同様に劇症型感染マウスモデルにおいても、感染早期から血中IFN-γ産生量が増加することが確認された。さらに、抗IFN-γ中和抗体投与マウスは劇症型感染に抵抗性が顕著に減弱することから、IFN-γが劇症型感染における宿主防御因子の一つであると考えられた。これまでGAS感染におけるIFN-γの産生はT細胞やNK細胞に依存すると考えられてきたが、申請者らは細胞表面抗原の詳細なフローサイトメトリー解析から、感染初期のIFN-γはT細胞やNK細胞由来ではなく、リング状の核を有する新規未成熟骨髄系細胞(IFN-γ-producing immature myeloid cells;γIMCs)から産生されることを見出した。さらにこのγIMCsを養子細胞移植したマウスは劇症型感染に抵抗性を持つことが示され、劇症型溶血性レンサ球菌感染症においてγIMCsが宿主防御的に機能していることが明らかとなった。しかしながら、IFN-γ投与マウスでは菌クリアランスは改善されるものの生存率の改善は認められず、γIMCsが産生するIFN-γ以外の宿主防御因子およびGAS抵抗因子等の存在が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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mBio
巻: 4(1)
10.1128/mBio.00472-12
http://www.nih.go.jp/niid/ja/basic-science/iummunology/1717-imm-2012-001.html