研究概要 |
【目的】本研究は難治性小児ALLに対して各種白血病/臍帯血NK細胞間の細胞傷害活性に関与する主たるリガンド/受容体を同定し、臍帯血NK細胞による抗腫瘍効果の増幅を行い、臍帯血移植をベースとしたNK細胞療法により小児難治性白血病の治療成績の改善をめざすものである。 【結果】1,各種白血病細胞上のNK受容体リガンド発現のうち、KIRリガンドの1つであるHLAclass1はほぼ全ての細胞株が発現していた。Pre-B ALL細胞株に比べT-ALL型ではULBP1,2,CD155,CD112,LFA1などの活性型受容体のリガンド発現が高かった。2,健常人末梢血NK細胞ではPre-B ALL細胞株に比べT-ALL細胞株に対してより高い細胞傷害活性を認めておりKIRリガンドであるHLA-C不一致がある場合により高い傷害活性が得られた。3,活性型NK受容体であるNKG2Dのブロッキングで傷害活性は抑制されることにより、NKG2DがALLに対するNK傷害活性に関与していることが示された。4,ドナーのNKG2DのSNPにより臍帯血NK細胞の細胞傷害活性に差が認められた。 【結論】T-ALLはNK細胞によるGVL効果が高い事が予想された。また、臍帯血を用いた同種移植時のドナーの選択にKIRLであるHLAおよびNKG2DのSNPを検討することにより、NK細胞によるより強いGVL効果が得られる可能性が示唆された。
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