研究課題
若年性骨髄単球性白血病(Juvenile myelomonocytic leukemia; JMML)はまれな小児特有の白血病である。一般に化学療法のみでは治癒が望めず、全例を対象として同種造血幹細胞移植による治療が行われているが、なお長期生存率は40-50%と不良であり、新規治療の開発が求められている。一方、無治療で長期間生存が得られている患者群の存在も報告されており、適切なリスク分類に基づく治療層別化が必要である。本研究の目的は、JMMLを対象にメチル化アレイによるゲノムワイドなエピジェネティック情報解析を行い、JMMLの病態生理における遺伝子メチル化の関与の解明および新規リスク分類の開発を目指すことにある。平成22年度中に、我々はJMML49例のgenomic DNAを抽出し、バイサルファイト処理およびwhole genome amplificationを行い、パイロシークエンス法を用いて10種類以上の遺伝子プロモーター領域のメチル化の確認を行った。平成23年度には、各遺伝子のメチル化状態と生命予後等の臨床情報との関連について、統計学的手法を用いて解析した。正常検体と比較して、CDKN2A、H19、CALCA、IGF2、BMP4の各遺伝子プロモーター領域の有意なメチル化亢進が確認された。海外からの報告と異なり、本研究による日本人JMML検体での検討では、遺伝子メチル化と全生存率との有意な相関は認められなかった。本研究結果から、JMML症例において遺伝子メチル化は亢進しているものの、遺伝子メチル化を組み込んだ予後予測リスク分類への適用は困難であることが判明した。
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