研究課題
研究内容の要旨としては、申請者が見出した、「FCMDがレトロトランスポゾンの挿入変異がもたらすエクソントラッピングと名付けられるスプライシング異常症であること」をもとに、この異常スプライシングを是正する治療法の実現を目的とし、核酸化合物であるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)による治療を開始しFCMDモデルマウスに対するAONのモデル動物への局所及び全身投与、ヒト患者由来細胞系への投与、薬剤毒性の検討、核酸配列や化合物分子の至適化、ドラッグデリバリーシステムの構築及び低分子化合物からの有効薬剤の探索を行うことであった。この2年間において申請者はモルフォリノオリゴを用い核酸化合物であるアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)による異常スプライシングに対する分子標的治療を開始しFCMDモデルマウスへの局所投与および尾静脈を介した全身投与、及び患者由来細胞系において、AONがRNAレベルだけでなく、蛋白レベル、及び疾患の機能的改善を示す糖鎖修飾の回復に対しても有効であることを示し、不治の病の初の治療法の可能性を示した(Taniguchi-Ikeda et.al. Nature 2011)。またFCMDで引き起こされるスプライシング異常は人の疾患の原因になることを初めて示し、同様のレトロトランスポゾンの挿入を認める他の2疾患についても同様のスプライシング異常を発見し、またチンパンジーにはないヒト特異的なSVA挿入を認める新規遺伝子(AB627340)のエクソントラッピング由来の遺伝子産物をヒト脳において同定し、エクソントラッピングの病的意義だけでなく進化、多様性に関する可能性も示した。この発表は国内でも各種新聞やテレビで報道され、患者家族に対しても公表され大きな反響をえた。この結果をもとに是非臨床応用の実現を目指して、核酸化合物の最適化や薬剤の毒性の検討などを行って行きたい。
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Nature
巻: 478 ページ: 127-131
10.1038/nature10456
http://www.med.kobe-u.ac.jp/info/2011/toda_111006.html
http://www.med.kobe-u.ac.jp/clgene/research/index.html