研究課題
1)線維芽細胞からリンパ球を用いた脂肪酸β酸化能評価への応用採血された末梢血よりリンパ球を分離し、1wellあたり3×10*6個に調整する。パルミチン酸(C16)を加えた培養液で96時間培養後、上清を用いてタンデムマスによるアシルカルニチン分析を行った。2年間で、中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症5名、極長鎖アシルCoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症2名、グルタル酸血症2型(GA2)5名の解析をおこなった。コントロールと比較して、MCAD欠損症ではC6、C8、C8/C10比が、VLCAD欠損症ではC14:1が上昇していた。GA2では、症例毎にパターンが異なるものの短鎖から長鎖のアシルカルニチンの蓄積がみられ、皮膚線維芽細胞と同様に診断が可能であることが確認できた。MCAD欠損症の5例中4例、VLCAD欠損症の2例中1例、GA2の4例中1例は新生児マス・スクリーニングで発見された症例であった。侵襲が少ないリンパ球を用いた本方法は、新生児マス・スクリーニングの補助診断にも有用である。2)リンパ球とタンデムマスを用いた簡便なカルニチントランスポーター評価法の確立1)の方法に続いてFolch法を用いて細胞内液を精製し、細胞内/細胞外遊離カルニチン比をみることで、カルニチントランスポーター機能を評価した。カルニチントランスポーター異常症(OCTN2異常症、全身性カルニチン欠乏症)2名の解析を行い、特に細胞外カルニチン濃度が10μMと低濃度の条件で、コントロールと比較してOCTN2異常症で細胞内/細胞外遊離カルニチン比が低値となり診断が可能であった。タンデムマスによるアシルカルニチン分析が普及しつつあるが、遊離カルニチン欠乏のケースに遭遇することは少なくない。また、カルニチン欠乏の原因が一過性のものか、遺伝性疾患によるものかは鑑別困難なことが多い。遺伝性カルニチン欠乏症では、感染や飢餓を契機に急激な低血糖、急性脳症、突然死にいたることもある。臨床の場で簡便に診断できる方法の確立は極めて意義が大きい。
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