1) 腹膜硬化症モデルラットでの組織学的検討 Sprague-Dawley(SD)ラットに0.1%クロルヘキシジン+15%エタノールを1週間に3回腹腔内投与することによって腹膜硬化症モデルを作成した。コントロール群へはオリーブオイルを腹腔内投与した。PAS染色で、エタノール注入群で腹膜中皮細胞の剥離や腹膜中皮下結合織の肥厚を認めた。免疫組織染色学的検討により、インテグリンの発現増強に伴って、コラーゲンやファイブロネクチンの細胞外基質蛋白の増加や炎症細胞浸潤、細胞増殖の指標であるPCNAやcyclin関連蛋白の発現増加が認められた。 2) ラット腹膜硬化症モデルでのインテグリンの発現解析 腹膜硬化症モデルラットから採取した腹膜組織でのインテグリンの発現をウェスターンブロット法、リアルタイムPCR法を用いて解析したところ腹膜硬化症の進行とともにインテグリンの発現も増強した。TGFβ、ECM蛋白、間葉系のマーカーであるα-smooth muscle actinの発現も同様に増強していた。 3) 培養中皮細胞、培養線維芽細胞を用いたインテグリンの発現解析 TGF-β刺激したところフローサイトメトリー、免疫沈降法でインテグリンの発現増強が認められた。 以上から組織線維化に関連するサイトカインTGF-β刺激による中皮細胞・線維芽細胞のインテグリン増強した表現型への変化が腹膜硬化症の進展に関連していると考えられた。
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