研究課題/領域番号 |
22790986
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
土居 岳彦 九州大学, 大学病院, 特任助教 (20572100)
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キーワード | ヒト化マウス / B細胞 / 原発性免疫不全症候群 |
研究概要 |
理化学研究所の石川らの協力のもと、臍帯血からLinage^-CD34^+造血幹細胞を磁気ビーズ法およびセルソーターで分離を行った。新生仔NOD/SCID/IL2rγKOマウスに放射線照射を行った後、分離した造血幹細胞を静注し移植した。移植から20~25週後に各臓器におけるB細胞の分化状態について解析を行った。臍帯血由来正常造血幹細胞を移植したヒト化マウス(コントロールマウス)と比較してXLA患者由来造血幹細胞を移植したマウス(XLAマウス)では脾臓および末梢血で有意にB細胞の割合が減少しでいた。コントロールマウスの脾臓ではIgM^+IgD^+のNaive B細胞が大部分であった。脾臓細胞をヒト抗CD40抗体とIL-4で刺激を行ったところB細胞は増殖しIgGなどの抗体を産生した。また末梢血中の免疫グロブリン測定を行ったところIgMのみならず、IgG/A/Eの産生がみられた。一方で、XLAマウスの脾臓ではB細胞の分化が停止しており、正常マウスと比較してpro-B細胞とpre-B細胞の有意な集積が見られ、Naive B細胞が欠如していた。コントロールマウマと同様にヒト抗CD40抗体とIL-4で刺激したがB細胞の増殖および抗体産生は認められなかった。血清中の免疫グロブリンも欠如していた。さらに遺伝子治療の実験として、レンチウィルスベクターにBTK遺伝子を搭載し、ヒト造血幹細胞に遺伝子導入が可能であるかどうか検討を行った。GFPコントロールベクターをLinage^-CD34^+CD38^-細胞に感染させ、ヒト化マウスに移植したところGFP陽性B細胞が半数以上みられた。しかしXLA患者骨髄由来Linage^-CD34^+CD38^-細胞にBTK遺伝子を導入したところ、GFP陽性細胞は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NOD/SCID/IL2rγKOマウスにおしてヒトXLAの病態を再現することに成功したが、BTK遺伝子導入についてはまだ検討が必要。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子導入実験について、レンチウイルスベクターの再作成やヒト造血幹細胞へ効率の良い感染方法など実験方法について新たな検討が必要である。
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