研究課題/領域番号 |
22790997
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
東 丈裕 埼玉医科大学, 医学部, 客員講師 (00468381)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / CoenzymeA / 母乳 / Th2アジュバント / 樹状細胞 |
研究概要 |
アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)は、増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因をもつ。ADは多彩な遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合って発症し、その症状が維持されていくと考えられている。環境要因に関しては、生後より摂取する母乳の関与が重要であると推測されてきたが、疫学的検討では母乳とADの関連性について一定の見解が得られていない。研究代表者は、in-vitroにおける検討により、AD発症に寄与する母乳中の物質を同定し、その物質について、動物モデルで検証し、更には臨床介入を行うことによってADの発症予防に寄与することを目的とし以下の検討を行った。 研究代表者はAD患者の摂取した母乳のAD誘発物質の一つがcoenzymeA(CoA)であることを同定し、CoAはTh2アジュバント活性を有することが判明した。また、経口摂取することによりマウスモデルにおいてAD様病態を引き起こすことを確認した。 さらに、生体内においてはT細胞がTh2に偏っているかについて、末梢血や脾臓より分離したT細胞や末梢血のサイトカイン定量、血清IgE,IgG1,IgG2aの定量による解析を行い、Th2に偏っていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AD患者の摂取した母乳のAD誘発物質の一つがcoenzymeA(CoA)であることを同定し、CoAはTh2アジュバント活性を有することが判明した。また、経口摂取することによりマウスモデルにおいてAD様病態を引き起こすことを確認した。さらに、生体内においてはT細胞がTh2に偏っているかについて、末梢血や脾臓より分離したT細胞や末梢血のサイトカイン定量、血清IgE,IgG1,IgG2aの定量による解析を行い、Th2に偏っていることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
高coenzymeA濃度を有する母乳を人工栄養乳に変え、ADの発症率の変化を検討し、母乳とADのかかわりを明らかにする。高coenzymeA濃度を有する母乳を摂取した児のリンパ球を分離し、生体内でT細胞がTh2に偏っているかについて検討する。 対象として、低coenzymeAを有する母乳と人工栄養乳を摂取した児のリンパ球を用いる。
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