研究概要 |
先行研究でダイオキシン(TCDD)を胎内曝露することで神経前駆細胞内p27Kip1タンパク質の細胞内局在が変化し分化誘導に異常を生じ大脳皮質が菲薄化すること、さらにp27Kip1ノックアウトマウスではTCDD胎内曝露による催奇形性が消失することを明らかにした(Mitsuhashi T, et al, PNAS 2010)。正常神経前駆細胞では大脳皮質発生が進むに従い細胞核内のp27Kip1タンパク質量が増加し、分化した神経細胞で発現が高値であることから、TCDDがp27Kip1の正常核内移行メカニズムに影響を与え、大脳皮質の形成異常を生じることが予想された。そこで平成24年度も引き続きp27Kip1タンパク質の核内移行を調節するメカニズムを解明することを目標に研究を実施した。 一方1)核成分を用いたp27Kip1に対する免疫沈降実験、2)細胞質成分を用いたAhRに対する免疫沈降実験を新規抗体を購入して引き続き実施したが、p27Kip1およびAhRと相互作用するタンパク質を同定できなかった。そこで本年度は、p27Kip1タンパク質の核外移行に重要なJab-1タンパク質を中心に免疫沈降実験を行った。具体的には、胎生10-16日目の胎児前脳より神経前駆細胞の細胞核および細胞質抽出液を準備し、Jab-1に対する抗体を使って免疫沈降実験を実施した。しかし、AhR、Jab-1と相互作用するタンパク質の同定には至らなかった。
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