研究課題/領域番号 |
22791004
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
田中 恭子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20407282)
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キーワード | 未熟児 / SGA / 高次脳機能 / フォローアップ / 成長ホルモン治療 / IGF-I |
研究概要 |
(1)研究対象者のリストアップ及びデータ収集 【対象】2004年以降に出生し当院NICU退院後、当科でフォローアップを行っている未熟児約100例に対し以下の内容を抽出した。 在胎週数、出生体重、年齢、性別、周産期合併症SGA児、NICU入院時の栄養法(母乳・人工栄養)入院期間、母体年齢、母体学歴、新生児期合併症の有無、その他。 (2)SGA性低身長児の抽出と治療の導入 SGA児では、暦3歳のフォローアップ健診の際に、SGA性低身長の診断を注意深く行い診断された児に対しては、除外診断(染色体検査など)及び入院にて負荷テストを行い下垂体前葉機能の評価を行った。その後、SGA性低身長に対する成長ホルモン治療のガイドラインに従い、成長ホルモン治療を開始した。 (3)SGA児の認知発達の特徴のまとめ 就学時における認知機能はSGA群で同時処理指数(視覚的認知機能)が有意に低値であり、認知処理機能に偏りを認め、SGA群においてEUGRを認めた症例の出生時体重SD値は有意に低く、いわゆるsevereSGAであること、とくに視空間認知および視覚的短期記憶が苦手あるが、一対一対応の課題は得意とする、などが挙げられた。また行動評価では、多動性注意力の点でスコアが高い傾向を認めた。 (4)成長ホルモン補充療法前後における認知発達指数の推移 成長ホルモンを開始したSGA症例は15名で、一年後の認知機能検査施行した例は10例、2年後の経過を追えた症例は8例であった。治療前後の認知機能検査は、KABC心理教育アセスメントバッテリーおよびSDQにて評価した。治療開始前の平均認知指数は、継次処理88、同時処理80.5、習得度83.5であった。成長ホルモン補充療法を開始一年後の認知指数は継次処理90.7、同時処理80.5、習得度87.7であった。それぞれAN0VAにて検討を行った結果、有意差は認めなかったが、習得度については高くなる傾向を認めた。今後さらに症例は増加する見込みであるが、それぞれの症例に対し、継続的に評価していく必要性と、社会経済的影響などの交絡因子の調整、認知指数の総合的評価ではなく、各々の認知機能を下位検査別に評価する予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ継続的に評価できておりデータベースに入力が終了している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度であるため、データベースから交絡因子の抽出を行い、継時的変化についてをANOVAを用いて評価を行えるよう、データのまとめを行っていく。 また、行動情緒面での評価およびIGF-1レベル、また身長伸び率などもデータ入力し、認知発達経過との関連性を検討する予定である。
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