研究課題
先天性胆汁酸代謝異常症(IEBAM)は、乳児期に胆汁うっ滞をきたし、無治療であれば肝硬変へ移行し死亡する予後不良な疾患である。しかし、そのほとんどが早期診断すれば治療可能な疾患であるため、早期診断と治療が重要である。我々は、ガスクロマトグラフィー質量分析法による尿中胆汁酸分析とダイレクトシークエンス法による遺伝子解析を用いてIEBAMの診断を行っている。今年度、新規診断例はなかったが、以前診断した症例の治療経過や予後を引き続き追跡した。現在、我々が診断・治療に関与しているIEBAMは国内に6例いる。全症例に関して関係施設の協力のもと、臨床経過、肝機能の推移、定期的な胆汁酸分析を行っている。全例が生存中で良好な経過であり、早期診断と治療の有効性が示されている。IEBAMは早期診断し、経口ケノデオキシコール酸療法を開始すればそのほとんどが内科的治療可能な疾患である。非常に稀な疾患であり、確定診断には血清や尿中の胆汁酸分析と遺伝子解析といった特殊な検査が必要なため、本疾患を小児科医に知ってもらう必要がある。特徴的な所見としては、乳児期に胆汁うっ滞を認めるにもかかわらず、血清γ-GTP及び総胆汁酸値が正常な点である。以上のことを、小児科及び小児肝臓病関連の学会や研究会で発表し、本疾患の理解の普及に努めた。また、本研究により診断がついたIEBAM症例の論文を日本語及び英語にて報告し、病態・予後・治療法の解明を行った。現在、ここ数年間の研究成果をまとめた論文を作成中である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件)
Journal of Inherited Metabolic Disease
巻: in press ページ: in press
Clinica Chimica Acta
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