研究課題
神経および脳腫瘍の幹細胞マーカーであるCD133の発現量は、神経芽腫の幹細胞が濃縮される浮遊細胞塊(以下スフェア)において発現誘導が見られた。また、CD133を発現した神経芽腫細胞では、細胞の分化に関わる受容体分子RETの発現が、p38MAPKおよびAKTのシグナル活性化を介して抑えられることが明らかとなった。また、CD133を過剰発現するとスフェア内での細胞の生存率の上昇が見られ、CD133はがん幹細胞の維持重要な役割を持つことが示唆された。このことから、神経芽腫幹細胞においてCD133が発現誘導されており、その結果分化が抑制され、CD133は神経芽腫の悪性化に寄与していることが示唆された。この結果は22年度中に論文を作成し、Oncogene誌に投稿し、掲載された(Oncogene, 2011,(30)97-105)。CD133の発現調節領域は5つ報告されており、それらのうち神経芽腫のスフェアで特異的に使用されている領域は、がん幹細胞の性質に重要であると考えられる。そこで神経芽腫スフェアで使用されている発現調節領域を明らかにするため、PCR法によって開始エクソンを解析した。その結果、神経芽腫のスフェアでは開始コドンの8kb上流に存在するプロモーターP1が特異的に使用され、転写が誘導されていることが明らかとなった。現在はその領域(1.1kb)の中で重要な領域の特定と、そこに結合する転写因子の探索を行なっている。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件)
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